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授乳期以外も注意非授乳期乳腺炎とは
乳腺炎と聞くと、多くの方が授乳中の女性に起こるものというイメージを持つかもしれません。しかし、実際には授乳期以外にも乳腺炎が発症することがあり、これを非授乳期乳腺炎と呼びます。非授乳期乳腺炎は、授乳期乳腺炎とは原因や症状の現れ方、治療法が異なる場合があるため、正しい理解と適切な対処が必要です。非授乳期乳腺炎の代表的なものには、乳輪下膿瘍や肉芽腫性乳腺炎などがあります。乳輪下膿瘍は、乳輪のすぐ下にある乳管に細菌が感染し、膿が溜まる状態です。乳頭からの分泌物や、乳輪部の陥没、喫煙などがリスク因子として知られています。症状としては、乳輪周囲の痛み、赤み、腫れ、熱感、そして膿の排出などが見られます。治療は、抗生物質の投与や、膿が溜まっている場合は穿刺や切開による排膿が行われます。再発しやすいという特徴もあります。一方、肉芽腫性乳腺炎は、比較的稀な疾患で、乳腺内に肉芽腫という炎症性のしこりができる病気です。はっきりとした原因はまだ完全には解明されていませんが、自己免疫的な要因や、コリネバクテリウムという細菌の関与などが考えられています。症状としては、乳房の硬いしこり、痛み、皮膚の発赤や潰瘍、乳頭からの分泌物などが見られ、時に乳がんと見分けがつきにくいこともあります。診断には、画像検査(マンモグラフィや超音波検査)や針生検による組織検査が必要となる場合があります。治療は、ステロイド剤や免疫抑制剤が用いられることがありますが、確立された治療法はまだありません。自然に軽快することもありますが、長期間の治療が必要となる場合や、再発を繰り返すこともあります。非授乳期に乳房のしこりや痛み、赤み、分泌物などの症状が現れた場合は、自己判断せずに必ず乳腺外科を受診しましょう。専門医による正確な診断と、個々の状態に合わせた適切な治療を受けることが重要です。