水いぼと聞くと、多くの方が子どもの病気というイメージを持つかもしれません。確かに、水いぼ(伝染性軟属腫)は主に幼児期から学童期の子どもたちによく見られる皮膚感染症です。しかし、実は大人でも水いぼを発症することがあります。大人が水いぼにかかる場合、その背景にはいくつかの特有の原因や要因が考えられます。最も一般的な原因は、子どもと同様に伝染性軟属腫ウイルスへの接触感染です。例えば、水いぼにかかっている子どもとの肌の直接的な接触や、タオルや衣類、ビート板などの物品を介した間接的な接触によってウイルスが付着し、皮膚の小さな傷などから侵入することで感染します。特に、家庭内に水いぼの子どもがいる場合や、保育士、幼稚園教諭など子どもと接する機会の多い職業の方は感染リスクが高まります。また、大人の場合、免疫力の低下が発症の引き金になることがあります。健康な成人の皮膚は、ある程度のバリア機能と免疫力を持っているため、ウイルスに接触しても必ずしも発症するわけではありません。しかし、過労、睡眠不足、ストレス、栄養バランスの偏り、あるいは他の疾患の治療などで免疫力が低下していると、ウイルスに感染しやすくなり、水いぼを発症する可能性が高まります。アトピー性皮膚炎などの基礎疾患があり、皮膚のバリア機能が低下している場合も、ウイルスが侵入しやすく、水いぼができやすい状態と言えます。さらに、性行為を介して感染するケースも報告されています。この場合、水いぼは外陰部やその周辺にできることが多く、他の性感染症との鑑別も重要になります。大人の水いぼは、子どもに比べて治りにくい傾向があるとも言われており、気になる症状がある場合は自己判断せずに皮膚科を受診することが大切です。医師は、症状や状況から原因を推測し、適切な治療法や対処法を提案してくれます。