風邪と肺炎は、初期には似た症状が現れるため区別がつきにくいことがあります。しかし、注意深く観察すると、いくつかの違いが見えてきます。これらの違いを理解し、肺炎の兆候を見逃さないようにしましょう。まず、発熱のパターンです。風邪の場合、熱は出ても三十七度台の微熱から三十八度程度のことが多く、通常は数日で解熱傾向が見られます。一方、肺炎では三十八度以上の高熱が持続することが多く、解熱剤を使用してもなかなか熱が下がらなかったり、一度下がっても再び高熱が出たりすることがあります。次に、咳の性状と痰の色です。風邪の咳は、最初は乾いたコンコンという咳が多く、次第に痰が絡むこともありますが、痰の色は透明か白っぽいことが一般的です。肺炎の咳は、より激しく、持続的で、黄色や緑色、あるいは茶褐色(錆び色)といった膿性の痰を伴うことが多くなります。また、咳き込むと胸に響くような痛みを感じる(胸痛)のも肺炎の特徴です。呼吸の状態も重要な判断材料です。風邪では、鼻づまりによる息苦しさはあっても、安静時に呼吸困難を感じることは稀です。しかし、肺炎では、安静にしていても息切れがしたり、呼吸が浅く速くなったり、ゼーゼー、ヒューヒューといった喘鳴が聞こえたりすることがあります。特に、肩で息をするような努力呼吸や、唇の色が悪くなるチアノーゼが見られる場合は、重症化のサインであり、緊急の対応が必要です。全身症状の程度も異なります。風邪でも倦怠感や食欲不振は起こり得ますが、肺炎では、ぐったりして起き上がれないほどの強い倦怠感や、全く食事が摂れないほどの著しい食欲不振が見られることがあります。これらの症状に加え、頭痛、関節痛、筋肉痛なども風邪より強く現れる傾向があります。もし、これらの「いつもと違う」「風邪にしては重い」と感じる症状があれば、自己判断せずに速やかに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
こんな症状は要注意!風邪と肺炎の違い