RSウイルス感染症では、発熱や咳と並んで、鼻水も主要な症状の一つです。感染初期には、水のようなサラサラとした透明な鼻水が多く見られますが、病状が進行したり、治りかけてきたりするにつれて、鼻水の色や粘り気に変化が現れることがあります。治りかけの時期に見られる鼻水は、しばしば黄色や緑色を帯び、粘り気が増してくることがあります。これは、ウイルスや細菌と戦った白血球の死骸や、気道から剥がれ落ちた細胞などが鼻水に混じるためで、必ずしも細菌感染による悪化を意味するわけではありません。むしろ、体がウイルスと戦い、回復に向かっているサインの一つと捉えることもできます。しかし、注意が必要なケースもあります。例えば、一度は透明に近くなった鼻水が再び黄色や緑色になり、量が増えたり、粘り気が非常に強くなったりした場合、あるいは発熱がぶり返したり、頭痛や顔面の痛みが現れたりした場合は、副鼻腔炎(蓄膿症)などの二次的な細菌感染を合併している可能性があります。特に、RSウイルス感染症では、鼻や喉の粘膜が弱っているため、細菌感染を起こしやすい状態になっています。また、中耳炎を併発しやすいのもRSウイルスの特徴の一つです。鼻水が長引くと、鼻と耳を繋ぐ耳管を通じてウイルスや細菌が中耳に入り込み、炎症を引き起こすことがあります。耳をしきりに気にする、機嫌が悪い、耳だれがあるといった場合は、中耳炎を疑い、耳鼻咽喉科の受診を検討しましょう。治りかけの鼻水に対しては、こまめに鼻をかむ、あるいは乳幼児の場合は鼻吸い器で吸い取ってあげることが大切です。鼻詰まりがひどいと、呼吸が苦しくなったり、睡眠が妨げられたりすることがあります。室内の湿度を適切に保つことも、鼻の粘膜を保護し、鼻水の排出を助けるのに役立ちます。鼻水の色や性状の変化だけで一喜一憂せず、子どもの全身状態や他の症状と合わせて総合的に判断し、心配な場合は医師に相談することが重要です。
RSウイルス治りかけの鼻水と色の変化