水いぼは、伝染性軟属腫ウイルスによって引き起こされる皮膚感染症ですが、このウイルスに接触したからといって誰もが必ず発症するわけではありません。特に大人の場合、水いぼの発症には免疫力の状態が大きく関わっていると考えられています。健康な成人の場合、皮膚には外部からの異物の侵入を防ぐバリア機能が備わっており、また、体内にはウイルスなどの病原体を排除する免疫システムが機能しています。そのため、ウイルスが皮膚に付着したとしても、免疫細胞が速やかに対応し、感染の成立や症状の発現を抑えることができるのです。しかし、何らかの理由でこの免疫力が低下してしまうと、ウイルスの侵入を許しやすくなったり、体内でウイルスが増殖するのを抑えきれなくなったりして、水いぼを発症するリスクが高まります。免疫力が低下する原因は様々です。例えば、過労や慢性的な睡眠不足、精神的なストレスは、自律神経のバランスを乱し、免疫細胞の働きを弱めることが知られています。また、偏った食生活による栄養不足や、不規則な生活習慣も免疫力低下に繋がります。特定の疾患、例えばHIV感染症や、がん、あるいは自己免疫疾患などにかかっている場合や、それらの治療のために免疫抑制剤やステロイド剤などを使用している場合も、免疫機能が著しく低下し、水いぼを含む様々な感染症にかかりやすくなります。アトピー性皮膚炎などの基礎疾患を持つ人も、皮膚のバリア機能が低下していることに加え、免疫バランスの乱れも指摘されており、水いぼができやすい傾向があります。このように、大人の水いぼの発症は、単にウイルスに接触したというだけでなく、その時の体の免疫状態が大きく影響していると言えます。したがって、水いぼの予防や治療においては、ウイルスへの対策と同時に、生活習慣を見直し、免疫力を維持・向上させる努力も重要になってくるのです。
免疫力低下と大人の水いぼの関係性