境界型糖尿病と診断された方が、糖尿病への進行を防ぎ、血糖値をコントロールするために、食事療法は非常に重要な役割を果たします。日々の食事でどのような点に気をつければ良いのか、具体的なポイントを押さえておきましょう。まず基本となるのは、適切なエネルギー摂取量を守ることです。過食は血糖値を上昇させる大きな原因の一つです。自身の年齢、性別、身長、体重、そして身体活動量に見合ったエネルギー量を把握し、それを超えないように心がけましょう。特に肥満傾向のある方は、減量を目指すことで血糖値の改善が期待できます。次に、栄養バランスの取れた食事を意識することです。主食(ごはん、パン、麺類など)、主菜(肉、魚、卵、大豆製品など)、副菜(野菜、きのこ、海藻など)を毎食そろえることを目指しましょう。特に、野菜やきのこ、海藻類に多く含まれる食物繊維は、糖の吸収を穏やかにし、食後の血糖値の急激な上昇を抑える効果があります。一日の目標摂取量は20g以上とされています。食べる順番も工夫してみましょう。「ベジタブルファースト」といって、食事の最初に野菜や海藻類などの食物繊維が豊富なものから食べ始め、次におかず(タンパク質)、最後にごはんやパンなどの炭水化物を摂るようにすると、血糖値の上昇が緩やかになります。また、よく噛んでゆっくり食べることも大切です。早食いは血糖値を急上昇させやすいため、一口三十回程度噛むことを意識しましょう。糖質の質にも注意が必要です。白米や食パン、うどんなどの精製された炭水化物よりも、玄米や全粒粉パン、そばなどの未精製の炭水化物の方が、食物繊維が多く含まれており、血糖値の上昇が穏やかです。甘いお菓子やジュース、果物の摂りすぎは血糖値を急上昇させるため、控えめにしましょう。脂質の摂りすぎも、カロリーオーバーに繋がりやすく、インスリンの働きを悪くする可能性があるため注意が必要です。これらのポイントを意識し、無理なく続けられる食生活を築くことが、境界型糖尿病の改善と糖尿病予防に繋がります。