私は地域の中核病院で長年医療事務に携わっていますが、保険証を提示せずに受診された患者さんへの返金対応は、日常的に発生する業務の1つです。窓口でお預かりした10割の医療費について、いつまでならお返しできるのかというご質問をよくいただきますが、私たちの立場から最もお伝えしたいのは、できるだけ同じ月の内、それも早めに来ていただきたいということです。病院の事務現場では、毎月10日までに前月分の診療内容をすべてまとめて請求する作業に追われます。このため、月が変わってしまうと、すでにデータがロックされ、レセコンと呼ばれるコンピューター上での安易な修正ができなくなります。もちろん、患者さん側に悪意がないことは重々承知していますが、事務処理上は一度確定した売上をマイナスにする作業は非常に複雑で、監査などの観点からも好ましくありません。そのため、私たちの病院では「当月内であれば窓口で返金、月をまたいだら保険者へ直接申請」というルールを徹底しています。患者さんの中には、翌月の1日に来られて「昨日受診したばかりなのに」と憤慨される方もいらっしゃいますが、たとえ1日の違いであっても、月をまたぐという境界線は事務的に非常に重い意味を持っています。窓口での返金手続きの際、私たちが必ず確認するのは、受診日当日にその保険証の資格が有効であったかどうかです。例えば、3月15日に受診し、3月20日に保険証を持ってこられたとしても、その保険証の発行日が3月16日以降であれば、受診日の時点では無保険状態だったとみなされるため、窓口での返金はできません。この場合は、前の保険か、あるいは国民健康保険に対して手続きを行うことになります。また、返金時には必ず領収書の原本を回収させていただきます。これをお返しできない理由は、原本が患者さんの手元に残っていると、さらに保険者へ二重に請求してしまう不正受給を防止するためです。代わりに、正しく3割負担として再計算された新しい領収書を発行します。もし領収書を紛失されてしまった場合は、再発行の手数料を頂戴したり、本人確認書類のコピーをいただいたりと、お互いに手間が増えてしまいます。私たちは、患者さんの経済的な負担を少しでも早く解消してあげたいと考えています。ですから、保険証を忘れてしまったとしても、決して焦る必要はありません。その代わり、領収書を大切に保管し、カレンダーの月末がいつかを確認して、1日でも早く窓口へ戻ってきてください。それが、私たち事務スタッフと患者さんの双方にとって、最もミスのない、スムーズな解決方法なのです。
病院の事務員が語る窓口返金の手続きと可能期間