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花粉症の症状が突然軽くなった人の話
長年春になるとティッシュの箱を手放せなかった筋金入りの花粉症だったAさん。それが ある年を境にまるで嘘のように症状が軽くなったと言います。薬を飲む回数が劇的に減り、日によってはマスクなしでも外出できるようになったそうです。彼は特に舌下免疫療法などの専門的な治療を受けたわけではありません。彼の身に一体何が起こったのでしょうか。話を聞いてみるとその背景には一つの大きな「生活習慣の変化」がありました。Aさんはその前年に会社の健康診断でメタボリックシンドロームを指摘され、一念発起して本格的な体質改善に取り組んだのです。まず変えたのは「食生活」でした。それまでは昼はラーメンとチャーハン、夜は揚げ物とビールという生活を送っていましたが、それを野菜と魚中心のバランスの取れた和食に切り替えました。特に意識して摂るようにしたのが納豆やヨーグルトといった発酵食品と、わかめやきのこなどの食物繊維だったと言います。次に始めたのが「運動」です。週に2~3回仕事終わりにジムに通い、軽いジョギングと筋力トレーニングを始めました。汗を流すことでストレスが発散され夜もぐっすりと眠れるようになったそうです。この生活を約一年間続けた結果、彼の体重は10キロ減少し体脂肪率も大幅に改善。そして翌年の春、彼は花粉症の症状が驚くほど軽くなっていることに気づいたのです。これはAさんの個人的な体験談ですが医学的にも十分に説明がつく現象です。食生活の改善による「腸内環境の正常化」と運動による「ストレスの軽減」や「自律神経の安定」が、過剰に働いていた免疫システムを正常な状態へとチューニングし直した結果、花粉に対するアレルギー反応が弱まったと考えることができます。また肥満、特に内臓脂肪は体内に慢性的な炎症を引き起こすことが知られており、これがアレルギー症状を悪化させる一因とも言われています。肥満の解消がこの炎症を抑え症状の緩和に繋がった可能性も高いでしょう。Aさんの例は花粉症が単なる鼻や目の問題ではなく、全身の健康状態と深くリンクしていることを教えてくれる貴重なケーススタディと言えるのです。