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腸内環境の改善が花粉症を治す鍵
「腸は最大の免疫器官である」。近年アレルギー研究の分野でこの言葉がますます注目を集めています。一見すると鼻や目の症状である花粉症とお腹の中の「腸」は、何の関係もないように思えるかもしれません。しかし実は私たちの腸内環境の状態がアレルギー反応の強さを大きく左右していることが、最新の研究で次々と明らかになっているのです。私たちの腸内には約100兆個もの多種多様な細菌が互いにバランスを取りながら生息しており、これを「腸内フローラ」と呼びます。この腸内フローラは単に食べ物の消化を助けるだけでなく、外部から侵入してきた病原体を排除したり、免疫システムを正常に機能するように教育したりする非常に重要な役割を担っています。免疫細胞の実に約7割が腸に集中していると言われているほどです。アレルギー体質の人はこの腸内フローラのバランスが崩れていることが多いということが分かっています。具体的には免疫機能を正常にコントロールする働きを持つビフィズス菌や酪酸産生菌といった「善玉菌」が少なく、逆に体に炎症を引き起こしやすい「悪玉菌」が優勢になっている傾向があるのです。腸内環境が悪化すると免疫システムが正常な判断能力を失い、本来は無害であるはずの花粉などに対しても過剰な攻撃命令を出してしまい、結果としてアレルギー症状が強く現れてしまうと考えられています。つまり花粉症の症状を根本から改善するためには薬で鼻や目の炎症を抑えるだけでなく、その大元である「腸」の環境を整え免疫システムそのものを正常な状態に戻してあげることが非常に効果的なアペローチとなるのです。具体的には善玉菌のエサとなる食物繊維や発酵食品を積極的に食事に取り入れること。そして悪玉菌を増やす原因となる高脂肪・高タンパクな食事や加工食品、ストレス、睡眠不足をできるだけ避けること。この地道な「腸活」こそがアレルギーに負けない体質を作り上げ、つらい花粉症を完治へと導く大きな鍵を握っているのかもしれません。