「風邪がなかなか治らない」「咳がずっと続いている」といった症状は、単に風邪が長引いているだけではなく、実は肺炎を発症しているサインかもしれません。一般的な風邪であれば、通常は一週間程度で症状は改善に向かいますが、二週間以上咳や微熱、倦怠感などが続く場合は、他の疾患、特に肺炎の可能性を考慮する必要があります。風邪のウイルスによって気道粘膜がダメージを受けると、二次的に細菌感染を起こしやすくなり、それが肺炎へと進行することがあります。これを細菌性肺炎と呼び、風邪をこじらせた結果として起こる代表的な肺炎の一つです。特に、体力が落ちている時や免疫力が低下している時には、このような二次感染のリスクが高まります。長引く風邪の症状の中で、特に注意すべきは咳の変化です。最初は乾いた咳だったものが、だんだんと痰の絡む湿った咳に変わり、その痰の色が黄色や緑色、あるいは茶褐色(錆び色)になってきた場合は、細菌感染を伴う肺炎の可能性があります。また、咳き込むと胸に痛みを感じたり、息苦しさを感じたりするようになったら、炎症が肺にまで及んでいるサインかもしれません。発熱も重要な指標です。風邪であれば一度下がった熱が再び上がってくる、あるいは微熱がだらだらと続くといった場合も、肺炎を疑う必要があります。全身の倦怠感が強く、食欲不振が続く、あるいは体重が減少するといった症状も、単なる風邪とは異なる経過であり、注意が必要です。高齢者や慢性的な呼吸器疾患(気管支喘息やCOPDなど)をお持ちの方、糖尿病などの基礎疾患がある方、喫煙者の方は、風邪から肺炎に移行しやすく、また重症化しやすい傾向があるため、特に慎重な経過観察が求められます。もし、風邪の症状が長引いたり、悪化したりするようなら、自己判断せずに医療機関を受診し、胸部X線検査など適切な検査を受けて、正確な診断を得ることが大切です。
風邪が長引くのは肺炎のサインかもしれない