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花粉症は本当に完治するのかという疑問
春になると訪れるくしゃみや鼻水、目のかゆみ。多くの日本人にとって花粉症はもはや春の風物詩とも言える国民的な悩みです。毎年薬や点鼻薬で症状を抑える対症療法を繰り返しながら、多くの人が心のどこかで「このつらい症状からいつか完全に解放される日は来るのだろうか」という切実な疑問を抱いています。果たして花粉症は本当に「完治」するのでしょうか。この問いに答えるためにはまず花粉症がどのような病気であるかを正しく理解する必要があります。花粉症はスギやヒノキなどの植物の花粉がアレルギーの原因物質となって引き起こされる「アレルギー疾患」の一種です。私たちの体には細菌やウイルスなどの異物が侵入した際に、それを攻撃して体を守る「免疫」というシステムが備わっています。しかし何らかの理由でこの免疫システムが、本来は無害であるはずの花粉に対して過剰に反応してしまうことがあります。これがアレルギー反応です。そして一度特定の物質を「敵」だと記憶してしまうと、その記憶はなかなか消えることはありません。この免疫の「記憶」こそが花粉症の完治を難しくしている根本的な原因なのです。この観点から言うと風邪のようにウイルスを体から排除すれば治る、というような意味での「完治」は現在の医学では非常に難しいというのが現実です。しかし絶望する必要はありません。「完治」という言葉の定義を少し広げて考えてみましょう。もし「薬を飲まなくても日常生活に支障がないレベルまで症状がほとんど出なくなる状態」を「完治」と呼ぶのであれば、それは決して不可能ではないのです。後述するような体質改善や根本治療によってアレルギー反応そのものを限りなくゼロに近い状態まで抑え込むことは可能です。花粉症は治らない不治の病ではありません。正しい知識を持ち根気よく治療と向き合うことで、症状に悩まされない快適な春を取り戻すことは十分にできるのです。