気象病の根本的な原因の一つとして、自律神経の乱れが大きく関わっていると考えられています。自律神経は、呼吸、体温、血圧、消化など、生命維持に必要な機能を無意識のうちにコントロールしている神経系で、交感神経と副交感神経の二つがバランスを取りながら働いています。しかし、気圧や温度、湿度といった気象の急激な変化は、この自律神経のバランスを崩しやすく、様々な身体的・精神的な不調を引き起こすのです。例えば、気圧が低下すると、体内のセンサー(特に内耳にあると言われています)がそれを感知し、交感神経が優位になりやすくなります。交感神経が過剰に働くと、血管が収縮して血流が悪くなったり、痛覚神経が刺激されたりして、頭痛や肩こり、関節痛などが起こりやすくなります。また、めまいや吐き気、動悸といった症状も、自律神経のアンバランスが影響していると考えられます。さらに、自律神経の乱れは精神面にも影響を及ぼし、気分の落ち込みや不安感、イライラ、不眠といった症状を引き起こすこともあります。では、このような自律神経の乱れが原因と考えられる気象病の症状が出た場合、何科を受診すれば良いのでしょうか。明確に「自律神経科」という診療科は一般的ではありませんが、自律神経失調症の治療に力を入れている心療内科や精神科がまず挙げられます。これらの科では、カウンセリングや薬物療法(抗不安薬、抗うつ薬、睡眠導入剤など)、あるいは自律神経調整薬などを用いて、乱れた自律神経のバランスを整える治療を行います。また、内科や総合診療科でも、自律神経の乱れによる全身的な不調を相談することができます。症状に応じて、必要な検査を行ったり、生活習慣の改善指導(規則正しい生活、適度な運動、バランスの取れた食事、ストレスマネジメントなど)を行ったりします。症状が特定の部位に強く出ている場合は、それぞれの専門科(頭痛なら神経内科、めまいなら耳鼻咽喉科など)を受診し、そこで自律神経の関与も考慮した治療を受けることも可能です。
自律神経の乱れと気象病何科で診る?