「風邪をこじらせて肺炎になり、入院が必要になった」という話は決して珍しいことではありません。特に、免疫力が低下している方や基礎疾患を持つ方、そして高齢者にとっては、風邪が重篤な肺炎へと進行し、入院治療を余儀なくされるリスクがあります。どのような場合に風邪から肺炎に移行し、入院が必要となるのでしょうか。まず、細菌性肺炎が重症化した場合です。風邪のウイルス感染によって気道のバリア機能が低下すると、肺炎球菌やインフルエンザ菌といった細菌が二次的に感染し、肺炎を引き起こします。この細菌性肺炎が急速に悪化し、肺の広範囲に炎症が広がると、呼吸機能が著しく低下します。酸素飽和度が低下し、呼吸困難が強くなると、酸素投与や人工呼吸器による呼吸管理が必要となり、入院治療が不可欠となります。また、脱水症状や栄養状態の悪化も入院の要因となり得ます。高熱や食欲不振が続くと、体内の水分や電解質のバランスが崩れ、脱水状態に陥ります。経口摂取が困難な場合は、点滴による水分・栄養補給が必要となり、入院管理下での治療が行われます。さらに、肺炎が進行すると、菌血症(細菌が血液中に侵入し全身に広がる状態)や敗血症(菌血症によって重篤な臓器障害が引き起こされる状態)といった命に関わる合併症を引き起こすことがあります。これらの状態では、集中治療室(ICU)での高度な医療が必要となることも少なくありません。もともと心臓病や呼吸器疾患、糖尿病などの基礎疾患を持つ方は、肺炎によってこれらの持病が悪化しやすく、その管理のために入院が必要になるケースもあります。例えば、心不全が悪化したり、血糖コントロールが困難になったりすることがあります。入院期間は、肺炎の重症度や患者さんの状態、合併症の有無などによって異なりますが、一般的には一週間から数週間程度となることが多いです。風邪だからと安易に考えず、症状が悪化したり、普段と違うと感じたりした場合は、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが、入院を避けるためにも重要です。
風邪をこじらせて肺炎入院になるケース