乳腺炎は、早期に対処することで重症化を防ぎ、比較的速やかに回復することが期待できる疾患です。そのため、乳腺炎の初期サインを見逃さず、適切なタイミングで医療機関を受診することが非常に重要になります。まず、乳腺炎の初期症状としてよく見られるのが、乳房の一部にしこりや硬さを感じることです。これは母乳が乳管内うっ滞(溜まってしまうこと)して起こることが多く、この段階ではまだ炎症は軽いかもしれません。しかし、このしこりに加えて、乳房にズキズキとした痛みや圧痛(押すと痛む)、熱っぽさ(熱感)を感じるようになったら注意が必要です。これらの症状は、炎症が起き始めているサインと考えられます。さらに症状が進行すると、乳房全体が赤く腫れ上がり、熱感も強くなります。そして、三十八度以上の高熱や悪寒、関節痛、頭痛、全身の倦怠感といったインフルエンザに似た全身症状が現れることがあります。これは化膿性乳腺炎へと進行している可能性を示唆しており、速やかな医療機関の受診が不可欠です。我慢せずに受診すべきタイミングとしては、乳房のしこりや痛みが二十四時間以上続く場合、市販の解熱鎮痛剤を服用しても症状が改善しない場合、そして何よりも高熱や強い倦怠感などの全身症状が現れた場合です。特に、乳頭に傷や亀裂があり、そこから細菌が侵入しやすい状態にある方や、過去に乳腺炎を繰り返した経験のある方は、症状が悪化しやすいため、早めの受診を心がけましょう。授乳中にこれらの症状が出た場合は、自己判断で授乳を中断したり、自己流のマッサージを過度に行ったりせず、まずは産婦人科や乳腺外科、あるいは助産師に相談することが大切です。専門家のアドバイスを受けることで、適切な対処法を知り、母乳育児を続けながら治療を進めることも多くの場合可能です。
乳腺炎のサイン見逃さないで!受診の目安