扁桃炎を年に何度も繰り返す、あるいは常に喉の違和感や微熱、倦怠感が続く。このような状態は慢性扁桃炎と呼ばれ、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。慢性扁桃炎の悩みを抱えている場合、耳鼻咽喉科の専門医に相談することが重要です。専門医は、まず詳細な問診と診察を行い、本当に慢性扁桃炎なのか、あるいは他の疾患が隠れていないかを慎重に判断します。問診では、これまでの扁桃炎の罹患頻度、症状の程度、期間、既往歴、アレルギーの有無などを詳しく聞き取ります。診察では、扁桃の大きさ、色調、表面の状態、膿栓(臭い玉)の有無、周囲のリンパ節の腫れなどを丁寧に観察します。必要に応じて、喉の細菌培養検査や血液検査を行い、炎症の程度や原因菌を特定することもあります。これらの情報に基づいて、専門医は個々の患者さんに最適な治療方針を提案します。保存的治療としては、急性増悪時には抗菌薬や消炎鎮痛薬の投与、うがい薬の処方などが行われます。また、日常生活における注意点、例えば十分な睡眠、バランスの取れた食事、ストレスの回避、口腔内の清潔保持といった指導も行います。それでも症状が改善しない場合や、繰り返す頻度が高い場合には、扁桃摘出術という外科的治療が検討されます。手術の適応については、患者さんの年齢、全身状態、扁桃炎による生活への影響度、そして扁桃が原因で他の臓器に悪影響を及ぼす病巣感染症(IgA腎症や掌蹠膿疱症など)の有無などを総合的に判断して決定されます。手術のメリット、デメリット、リスクについても詳しく説明し、患者さんの意思を尊重しながら治療法を選択していきます。また、慢性扁桃炎と似た症状を引き起こす他の疾患、例えばアレルギー性咽喉頭炎や逆流性食道炎、稀には悪性腫瘍などとの鑑別も専門医の重要な役割です。長引く喉の不調に悩んでいる方は、自己判断せずに、まずは耳鼻咽喉科の専門医を受診し、適切なアドバイスと治療を受けることをお勧めします。