赤ちゃんの初めての高熱で多くの親が経験するのが突発性発疹です。突然の四十度近い熱に慌てふためき、数日後に熱が下がると同時に体に発疹が現れて、そこで初めて病名を知るというケースがほとんどでしょう。この病気の原因はヒトヘルペスウイルス六型、あるいは七型というウイルスです。では、このウイルスは一体いつ、どのようにしてうつるのでしょうか。最も感染力が強いとされるのは、高熱が出ている期間です。実は、特徴的な発疹が出た後には、ウイルスの排出量は大幅に減少し、感染力はほとんどなくなっていると考えられています。多くの人が誤解しがちなのですが、発疹が出ているからうつる、というわけではないのです。主な感染経路は、唾液などを介した飛沫感染や接触感染です。多くの場合、ウイルスに感染しても症状が出ない不顕性感染の大人から、知らず知らずのうちに赤ちゃんへとうつっていると考えられています。例えば、家族が無症状のままウイルスを唾液中に排出していて、赤ちゃんに食事を与える際のスプーンの共有や、くしゃみ、咳などを通じて感染が成立します。突発性発疹は、ほとんどの人が二歳頃までに経験する病気であり、一度かかると終生免疫ができます。そのため、過度に感染を恐れる必要はありませんが、高熱が出ている間は赤ちゃんの体調も優れないため、他の子どもとの接触は避け、安静に過ごさせることが大切です。発疹が出て機嫌が良ければ、感染力は低いという点を理解しておくと、周囲への説明や対応もしやすくなるでしょう。