子どもの頃から春になると鼻をぐずぐずさせ目を真っ赤にしている我が子を見ると、親としては本当につらいものです。「この子の花粉症は大人になってもずっと続いてしまうのだろうか」。そんな不安を抱く保護者の方も少なくないでしょう。結論から言うと子どもの花粉症が成長と共に自然に軽快したり、症状が出なくなったりするケースは十分にあり得ます。しかしその一方で症状がそのまま持ち越されたり、あるいは悪化したりするケースもあり一概に「治る」とは断言できないのが現状です。子どもの花粉症が大人になると治りやすいと言われるのにはいくつかの理由が考えられます。まず成長に伴う「免疫システムの成熟」です。子どもの免疫システムはまだ発達途上にあり様々なアレルゲンに対して過敏に反応しやすい状態にあります。しかし成長するにつれて免疫システムが成熟し安定してくると、花粉に対する過剰な反応が徐々に抑えられてくることがあります。また成長と共に鼻腔の構造が変化しアレルギー反応の場である鼻の粘膜の面積が相対的に広がることで、症状を感じにくくなるという説もあります。しかし近年ではむしろ子どもの頃に発症した花粉症がそのまま成人まで持ち越されるケースの方が増えているとも言われています。その背景には食生活の欧米化や大気汚染、ストレスの増大といった現代社会特有の環境的な要因がアレルギー体質をより強固なものにしてしまっているという側面があると考えられます。また子どもの頃にスギ花粉症だけだったのが大人になるにつれてヒノキやイネ科、ブタクサなど反応する花粉の種類が増えていってしまうことも少なくありません。子どもの花粉症の将来的な経過をより良い方向へ導くためには、子どものうちから適切な対策を講じることが非常に重要です。アレルギー専門医のもとで正しい診断を受け適切な薬物療法を行うと共に、食生活の改善や適度な運動といった生活習慣を整えること。そして3年以上継続できるのであれば根本治療である「舌下免疫療法」を早期に開始することも有効な選択肢の一つです。
子供の花粉症は大人になると治るのか