境界型糖尿病と診断されたら、それは生活習慣を見直し、本格的な糖尿病への進行を食い止めるための絶好の機会です。適切な対策を講じることで、血糖値を正常範囲に戻したり、糖尿病への移行を大幅に遅らせたりすることが可能です。では、具体的にどのようなことに取り組めば良いのでしょうか。最も重要なのは、食事療法と運動療法の二本柱です。食事療法では、まず総摂取エネルギー量(カロリー)を見直すことが基本です。自分の体格や活動量に見合った適切なカロリー摂取を心がけ、過食を避けましょう。特に、肥満傾向のある人は、体重を数パーセント減らすだけでも血糖値の改善が期待できます。栄養バランスの取れた食事も重要です。主食(炭水化物)、主菜(タンパク質)、副菜(ビタミン・ミネラル・食物繊維)をそろえ、野菜を積極的に摂取するようにしましょう。食物繊維は、食後の血糖値の急上昇を抑える効果があります。また、食べる順番も工夫すると良いでしょう。野菜から先に食べる「ベジタブルファースト」は、血糖値の上昇を緩やかにするのに役立ちます。甘いものや脂っこいものの摂りすぎにも注意が必要です。運動療法では、有酸素運動とレジスタンス運動(筋力トレーニング)をバランス良く行うことが推奨されます。有酸素運動としては、ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなどが挙げられ、週に合計150分以上行うのが目標です。一度に長時間行うのが難しければ、1回10分程度の運動を複数回に分けても効果があります。レジスタンス運動は、筋肉量を増やし、基礎代謝を高め、インスリンの効きを良くする効果があります。スクワットや腕立て伏せなど、自宅でできるものから始めてみましょう。これらの食事療法と運動療法を継続することが、糖尿病への進行を防ぐための鍵となります。その他、禁煙、節酒、十分な睡眠、ストレス管理といった生活習慣全般の見直しも重要です。一人で取り組むのが難しい場合は、医師や管理栄養士、健康運動指導士などの専門家のアドバイスを受けながら、無理なく続けられる方法を見つけていきましょう。
境界型糖尿病から糖尿病への進行を防ぐには