大人が水いぼにかかった場合、皮膚科ではどのような診断と治療が行われるのでしょうか。まず、皮膚科医は視診によって、水いぼ特有の光沢のあるドーム状の丘疹(ブツブツ)であるか、中央にくぼみ(臍窩)があるかなどを確認します。多くの場合、この視診だけで診断がつきますが、他の疾患との鑑別が難しい場合や、診断に迷う場合には、ダーモスコピーという拡大鏡を用いた検査や、ごく稀に皮膚生検(皮膚の一部を採取して顕微鏡で調べる検査)が行われることもあります。治療法については、水いぼの数や大きさ、発生部位、患者さんの年齢や免疫状態、そして本人の希望などを総合的に考慮して決定されます。主な治療法としては、専用のピンセットで水いぼの内容物を摘出する方法(トラコーマ鑷子による摘除術)があります。これは確実性の高い治療法ですが、痛みを伴うため、事前に麻酔テープ(リドカインテープなど)を使用することが一般的です。ただし、数が多い場合や広範囲に及ぶ場合は、一度に全てを取り除くのが難しいこともあります。液体窒素を用いた凍結療法も選択肢の一つです。これは、超低温の液体窒素を水いぼに当てることで組織を破壊し、自然に脱落させる治療法です。数回の治療が必要になることが多く、治療中や治療後に痛みを伴うことがあります。その他、サリチル酸絆創膏などの角質溶解剤を用いたり、ヨクイニン(ハトムギのエキス)の内服を行ったりすることもありますが、これらの効果については個人差が大きいとされています。また、水いぼは自然治癒も期待できる疾患であるため、特に数が少ない場合や、積極的な治療を希望しない場合には、経過観察という選択肢もあります。ただし、その場合でも、自家接種や他者への感染を防ぐための生活指導(患部を掻かない、タオルを共有しないなど)が行われます。いずれの治療法を選択するにしても、医師とよく相談し、メリットとデメリットを理解した上で決定することが大切です。