子どもは大人に比べて免疫機能が未熟なため、風邪をひきやすく、また、風邪から肺炎へと進行してしまうことも少なくありません。特に乳幼児の場合は、症状をうまく言葉で伝えられないため、保護者の方が注意深く観察し、肺炎のサインを見逃さないようにすることが大切です。子どもが風邪から肺炎になっているかもしれないと疑うべきサインには、以下のようなものがあります。まず、呼吸の状態の変化です。呼吸が速い(多呼吸)、息をするたびに小鼻がピクピクする(鼻翼呼吸)、鎖骨の上や肋骨の間がへこむような呼吸(陥没呼吸)、ゼーゼー・ヒューヒューといった喘鳴(ぜんめい)が聞こえる、肩で息をするような努力呼吸が見られる場合は、呼吸が苦しいサインであり、肺炎の可能性があります。また、機嫌が極端に悪く、ぐったりして元気がなく、遊ぼうとしない、顔色が悪い(特に唇や爪が青白い、あるいは紫色っぽいチアノーゼが見られる場合は緊急性が高いです)といった全身状態の悪化も重要な兆候です。高熱が続くことも注意が必要です。三十八度以上の熱が数日以上続く、あるいは一度解熱した後に再び高熱が出る場合は、肺炎を疑います。咳の性状も観察しましょう。最初はコンコンとした乾いた咳でも、次第に痰の絡んだゴホゴホという湿った咳に変わり、その咳が激しく、なかなか止まらない、夜も眠れないほど咳き込むといった場合は、炎症が肺に及んでいる可能性があります。食欲不振も重要なサインです。ミルクや母乳の飲みが悪い、離乳食や食事をほとんど受け付けない、水分もあまり摂りたがらないといった場合は、脱水症状にも注意が必要です。嘔吐や下痢を伴うこともあります。これらの症状に加えて、月齢の低い赤ちゃんの場合は、何となく活気がない、普段よりよく眠る、あるいは逆に不機嫌で泣き止まないといった、普段との様子の違いも重要な手がかりとなります。これらのサインが見られたら、自己判断せずに速やかに小児科を受診し、医師の診察を受けるようにしましょう。早期発見・早期治療が、子どもの肺炎の重症化を防ぐためには最も重要です。