授乳期を中心に、多くの女性が経験する可能性のある乳腺炎。乳房の痛みや腫れ、熱感といった症状が現れたとき、一体どの診療科を受診すればよいのか迷う方も少なくないでしょう。乳腺炎が疑われる場合にまず相談すべき主な診療科は、産婦人科または乳腺外科です。産婦人科は、妊娠・出産・産褥期全般をサポートしており、授乳中のトラブルである乳腺炎の診断と治療に精通しています。特に出産した医療機関であれば、妊娠中からの体の状態や授乳状況を把握しているため、スムーズな連携が期待できます。また、助産師による授乳指導や乳房ケアも受けられる場合が多く、初期のうっ滞性乳腺炎などでは薬物治療だけでなく、適切なケアによって改善することも少なくありません。一方、乳腺外科は乳房の疾患を専門に扱う診療科です。乳腺炎の診断はもちろんのこと、乳腺膿瘍(乳腺内に膿が溜まった状態)への進行が疑われる場合の穿刺や切開排膿といった外科的処置、あるいは乳がんなど他の乳房疾患との鑑別も専門的に行います。授乳期以外の乳腺炎や、症状が重い場合、繰り返す場合には、乳腺外科での精密な検査や治療が推奨されることがあります。どちらの科を受診するか迷う場合は、まず出産した産婦人科に相談するか、かかりつけの産婦人科医がいる場合はそちらを受診するのが第一歩として良いでしょう。そこで必要に応じて乳腺外科を紹介されることもあります。また、地域の保健センターや助産院でも、乳腺炎の初期対応や授乳相談に応じてくれる場合があります。ただし、高熱や強い痛み、全身倦怠感など症状が強い場合は、自己判断せずに速やかに医療機関を受診することが重要です。早期に適切な診断と治療を受けることが、症状の悪化を防ぎ、スムーズな回復に繋がります。