一度乳腺炎を経験すると、その辛さから「もう二度と繰り返したくない」と切実に願う方が多いでしょう。乳腺炎を予防するためには、日頃からの心がけと適切なケアが重要になります。まず最も大切なのは、母乳を乳房内に溜めすぎないことです。そのためには、赤ちゃんが欲しがるタイミングで、効果的に母乳を飲んでもらうことが基本です。授乳の際には、赤ちゃんの抱き方や乳首の含ませ方が正しいかを確認しましょう。赤ちゃんが乳輪まで深く乳首を含み、リズミカルに吸啜できているかがポイントです。様々な授乳姿勢を試して、乳房全体からまんべんなく母乳が吸い出されるようにすることも有効です。授乳間隔が空きすぎないように注意し、もし乳房が張って辛い場合は、次の授乳を待たずに搾乳するなどして調整しましょう。ただし、搾乳しすぎると母乳の生産量が増えすぎてしまうこともあるため、加減が大切です。助産師に相談して適切な方法を教えてもらうのが良いでしょう。また、乳房マッサージも予防に役立つことがありますが、自己流の強いマッサージは乳腺を傷つける可能性があるため避けるべきです。行う場合は、優しく、乳管の詰まりを促すような方法を専門家から指導してもらいましょう。食事については、特定の食べ物が直接乳腺炎を引き起こすという明確な科学的根拠は少ないですが、バランスの取れた食事を心がけることが基本です。脂肪分の多い食事や甘いものの摂りすぎは、血液や母乳の質に影響を与える可能性があるため、適度に控えるのが良いとされています。十分な水分補給も大切です。ストレスや疲労も乳腺炎の誘因となることがあります。産後は特に心身ともに負担がかかりやすいため、意識して休息を取り、リラックスできる時間を作るようにしましょう。家族の協力を得て、無理のない育児環境を整えることも重要です。もし乳頭に傷や亀裂ができてしまった場合は、早めにケアを行い、細菌感染を防ぐことが大切です。これらの予防策を実践しても、乳腺炎の兆候が見られたら、早めに医療機関や助産師に相談しましょう。