乳腺炎が一度きりで治まらず、何度も繰り返したり、長期間にわたって症状が続いたりする場合、慢性乳腺炎へと移行している可能性があります。慢性乳腺炎は、急性期のような激しい症状は少ないものの、乳房の鈍い痛みやしこり、違和感が持続し、日常生活の質を低下させることがあります。このようなしつこい乳腺炎を慢性化させないためには、早期の適切な対応と、根気強い治療、そして生活習慣の見直しが重要になります。まず、急性乳腺炎を発症した際に、自己判断で治療を中断したり、不適切なセルフケアを続けたりすると、炎症が完全に治まりきらずに慢性化するリスクが高まります。医師から処方された薬は指示通りに最後まで服用し、症状が改善しても油断せずに経過観察を行うことが大切です。繰り返す乳腺炎の場合、その原因を特定するために専門的な検査が必要となることがあります。例えば、乳管の形状や走行に問題がないか、あるいは特定の細菌感染が関与していないかなどを調べる場合があります。乳腺外科医とよく相談し、必要な検査を受けるようにしましょう。生活習慣の見直しも、慢性化を防ぐ上で重要です。授乳中の場合は、正しい授乳方法を再度確認し、母乳のうっ滞を防ぐ工夫を続けることが基本です。乳房への過度な圧迫を避けるために、サイズの合った締め付けの少ない下着を選ぶことも大切です。また、十分な睡眠とバランスの取れた食事を心がけ、免疫力を維持することも、炎症の鎮静化と再発予防に繋がります。ストレスも免疫機能に影響を与えるため、リラックスできる時間を作り、心身の負担を軽減するよう努めましょう。慢性乳腺炎の治療は、時に長期間を要することがあります。焦らず、根気強く治療に取り組む姿勢が求められます。そして何よりも、信頼できる医師や助産師との連携が不可欠です。不安なことや疑問点は遠慮なく相談し、二人三脚で治療を進めていくことが、慢性化を防ぎ、症状改善への道を開く鍵となります。